M1の宗里です。8/18〜22の4泊5日で、知床半島の藪漕ぎ縦走&海岸歩きに行ってきました。メンバーは宗里、鈴木、大柳、三浦(バーボン)の4人。詳細は追記にて。長文です、ごめんなさい。
写真:http://photozou.jp/photo/list/2619556/9083223(山行編)
http://photozou.jp/photo/list/2619556/9083311(観光編)
8月16日(水):集合。
CLはこの日の朝に新千歳に降り立った。レンタカーを借り、札幌でガス缶などを購入してから、夜19時半に地元民の三浦と合流。そのまま新千歳で鈴木を、苫小牧で大柳を拾う。セイコーマートで軽く腹を満たし、車中泊適地を探す。広い駐車場があったので入ってみると、そこは平取町立二風谷アイヌ文化博物館であった。駐車場で大柳の酒を飲んでから、アイヌのコタンが再現された敷地の端で外寝した。
8月17日(木):アプローチ。
4時半起床。コタンのチセ(家)などを少し見物してからドライブ開始。途中豚丼を食べたりしながらひたすら運転し、15時ごろ羅臼のルサフィールドハウスに着いた。ここで熊スプレーとフードコンテナを借りる。どちらも1日1,000円。職員さんに熊スプレーの使い方や道の情報を教えてもらう。ワンゲルで知床縦走をしたのは、直近だと2009年と2003年の個人山行で、どうもその頃とは少し様子が変わっているらしい。まあ10年近く経っているわけだしそりゃそうか。外に出て海岸で遊ぶ。すっきりした天気で、風も涼しい。京都とはえらい違いである。つい最近まで帰省で瀬戸内のほとんど波のない海ばかり見ていたので、ちょっとした波も強く見える。大柳が落ちていたコンブを拾ってかじりだしたので皆で食べた。おいしい。羅臼の中心街に戻り、セイコーマート富士見店で今後の相談。ここのセコマにはこの後も非常にお世話になった。スーパーを覗いたり散策したりして時間を潰す。夕食はさんざん迷ってから海鮮のお店に入った。お酒も飲んで、入山前の景気づけになったと思う。相泊温泉の露天風呂に浸かり、相泊橋の駐車スペースで0付。キタキツネが出没した。大柳がスーパーで半額のサケの切り身を買っていたので、それを肴にして酒を飲んでから就寝。満足度の高い一日だった。
8月18日(金) くもりのち晴れ:入山。知床沼へ。
4:30 起床。相泊橋は電波通じます。
5:25 出発。最初は単調な石浜歩き。番屋の前ではコンブを干していた。釣り人も多い。大柳はコンブを行動食にしていた。
7:00 観音岩。巻道あり。簡単。
7:10〜7:20 ウナギベツ川河口。レスト。踏み跡は見当たらなかったので川を遡行した。
8:45〜9:05 レスト&RF。地形が平坦でRFにてこずる。
9:55〜10:30 レスト&RF。唐突にガレ場が現れて沢が伏流していた。
10:55 標高330m付近の池に出た。透明度が高い青く澄んだ池に一同感動。
11:30〜11:50 大ガレ場。稜線が見えた。素晴らしい景色。水汲みレスト。
11:55〜12:15 標高390m付近の池。ルサフィールドハウスでは「青沼」と呼んでいるそうだ。ここから明瞭な踏み跡になった。ペンキやロープもあった。
13:10〜13:20 レスト。尾根に乗って大崩壊地を巻く。左手に大崩壊地、右手に海という景色で、楽しい登りだった。国後島も見えた。大柳はフキ系の何かを食べてうまいと言っていた。
13:55〜14:05 レスト。台地に乗った。ロープの張られたずるずるの急斜面を登ると、ハイマツが広がっていた。右手にテープと切り開きがあり、辿る。
15:00〜15:10 レスト。切り開きは見失いやすいので注意。切り開きとは言っても、それなりにヤブ。Topは鈴木と大柳で時々交代した。
15:50〜16:00 レスト。なかなか沼に着かず疲弊。
16:10 知床沼。光る水面がいきなり目の前に飛び込んできて、歓声をあげる。初日から10時間半行動でこの先が心配になるが、ひとまず池を眺めながら休む。沼の水は思ったよりもきれいで、宗里と大柳は泳いだ。気持ちよかった。
知床沼は植生保護のためキャンプ地が指定されている。ロープの内側にテントを張って早速夕食を作る。この日はジンギスカンの炒めもの。献立はアプローチ途中で寄ったスーパーで適当に決めたので不安だったが、おいしかった。ゴミはジップロックに入れた上でフードコンテナに入れて、テントから離して置いた。浄水器で沼の水から飲料水を作る。ヒグマ対策でラジオを流しながら寝たが、うるさくて眠れないし2時ごろ急に怪談が始まったので、スイッチを切って安眠を優先した。
8月19日(土) 晴れのちくもり:入藪。激藪。
3:30 起床
4:55 出発、入藪。1人6.2Lの水を持つ。沼からしばらくは切り開きがあり、見失っては発見するというのを繰り返した。朝は晴れていたので、木に登れば簡単にRFができた。
6:15〜6:25 レスト。
7:35〜7:45 レスト。884ピーク。西側にガレ場があって簡単に歩けた。コケモモを宗里と大柳の2人で食べまくった。この辺りからガスり始める。
9:05〜9:15 レスト。切り開きはあるが、背の高いハイマツに苦戦する。割と新しいカメラを拾った。
10:20〜10:30 レスト。切り開きを完全に見失う。ハイマツが全く這っておらず、身長より高いハイマツの密生した枝を無理やりかき分けていく。たまに跳ね返される。時速約250mのペースであった。
11:40〜11:50 レスト。CS2予定地まで行くのは絶望的になる。ポロモイ岳が遠い。
12:50〜13:00 レスト。ブルーベリーのような木の実を食べてみたら本当にブルーベリーのような味がしたので、大柳と2人で食べまくった。調べてみると、エゾクロウスゴというらしい。コケモモとクロウスゴは以降も見つけるたびに食べていた。
13:20 西ポロモイ岳
13:50〜14:05 ポロモイ岳! レスト。人生でこれほど嬉しい三角点は後にも先にもないであろう。三角点の周りとその少し奥は、切り開かれて広場のようになっていた。
15:20〜15:30 レスト。
15:55 ポロモイ岳と947の間のコルに切り開かれた広場を見つけたのでCS2にした。
想像以上に濃い藪で、予定より大幅に遅れてしまった。帰れないのではないかと不安になる。この日は、周りの景色が見える程度の曇りだったので、喉の渇きにはそれほど悩まされなかったのが救いだった。夕食は定番の焼きそば。鍋は2つあるのに、鈴木の主張によりなぜか1つの鍋であふれそうになりながら無理やり作った。おいしかった。疲れていたのですぐに寝た。
8月20日(日) くもりのち晴れ:さわやか。
2:30 起床。早く起きすぎたので明るくなるまで待機。
4:25 出発。ガスが晴れてきた。朝焼けが美しい。振り返ると雲海に浮かぶ知床岳が見えた。
5:30〜5:40 レスト。出発からいきなり濃い藪で、昨日も一日Topをしていた鈴木の疲労を考えて、Topを宗里に交代した。が、結局この日で一番濃い藪はこの最初の部分だったと思う。
6:40〜6:50 レスト。920m付近。ガスでRFが不安だったが、ちょうど晴れてきて進む尾根が見えた。喉は乾くかもしれないが、晴れている方が精神的には非常に楽である。小さなルンゼ状を歩いて下った。
7:50〜8:00 レスト。
8:15 814mピーク。CS可。シラカバの樹林帯や笹ヤブが現れて歩きやすい。
9:10〜9:20 レスト。この頃になると舞空術にも慣れてきた。
10:05 763mピーク。ガンヌプリが見えた。ここから770mピークの東側を、方角を北に合わせてショートカット。笹ヤブ時々ハイマツ。木に登って方角を確かめつつ進む。
10:25〜10:35 レスト。
11:30〜11:55 大柳が木に登って飛び降りた時、笹で隠れていた木に腰を強打してしまった。しばらく休ませる。大柳の秘密兵器「ローヤルさわやか」を開封して軽量化する。かなり痛そうだったが、ここで止まっているわけにもいかない。本人もとりあえず歩けそうだというので、水とフードコンテナを3人で分担して大柳の荷物を軽くし、出発。
13:00〜13:15 ガンヌプリ手前でレスト。大柳の腰は大丈夫そうだということで、少しずつ荷物を返す。ガンヌプリは時速100mの「史上最強の藪」として知られているが、ここ2回の山行では東側からピークを巻いていた。木に登って観察すると、確かに樹林帯がここからピークの東側まで続いていてうまく巻けそうである。もし駄目でも、最悪ガンヌプリのピークまで登ってしまえば復帰は可能ということで、過去の記録を信じて東側を巻くことにした。身長よりも高い笹ヤブに窒息しそうになりながら、なんとかかき分けて登る。
14:10〜14:20 レスト。笹ヤブを越えると歩きやすい樹林帯に出た。ハイマツ帯と樹林帯の境を歩いていくと、14:40、あっという間にガンヌプリの東横の広い場所に着いた。情報量の勝利。そこから稜線のハイマツを避けつつコルまで下った。
14:55 ウィーヌプリ手前のコル。CS3予定地。平和なテン場であった。2日目の遅れを取り戻せてホッとする。
この日も夕食は焼きそば。帰れる見込みがついたからか、昨日に比べて心持ちが軽い。夕食後も駄弁ったり秘密兵器を出したりしてのんびりしていた。晴れていたけれど、思ったよりも喉は乾かなかったので水が余っていた。明日の行動水を1人2Lにして、残りを秘密兵器などで消費する。鈴木のスマホ(au)の電波が入った。スマホ、すごい。前日に拾ったカメラのSDカードを挿入したら、生きていることが分かった。去年の写真だった。知床を縦走する人は年に1パーティー以上はいるようだ。
8月21日(月) くもり時々晴れ:岬。ヒグマ。
3:00 起床
4:25 出発。Topは鈴木に戻った。藪は思っていたほど薄くなく、普通にハイマツだった。
4:47〜4:55 ウィーヌプリ山頂。雲海。山頂はCS可。ウィーヌプリの北側は、1986年の山火事の影響か、若干植生が薄くなっていた。
5:50〜6:00 レスト。ウィーヌプリから先は北山レベルという情報だったが、稜線は普通にハイマツ藪だった。稜線西側の樹林帯を通って進んだ。
6:25 602mピーク
7:20〜7:30 レスト。時々踏み跡が出現した。
7:50 516mピーク。崖の東側を踏み跡を辿って下る。
8:25〜8:35 440mピーク。レスト。台高のような雰囲気の気持ちいい樹林帯。
9:05 412mピーク
9:25〜9:35 レスト。藪は薄いのだが、時々灌木帯などが出てきて思ったよりペースが上がらなかった。
10:30 平らな森に出た。平坦で何も分からず、灯台も見えなかったので、方角を灯台に合わせて進む。しかし、途中で謎のフェンスに阻まれた。おそらく植生のモニタリングでもしているのだろう。仕方なくフェンスを巻いたら、現在地が分からなくなってしまったので、灯台は諦めて下ることにした。
11:00 笹の平原に飛び出した。灯台はかなり東にあった。海が見える。歩くスピードも自然と上がる。
11:10〜13:00 アブラコ湾。ようやく着いた。疲れすぎていたからか、思ったほどの感慨もなく、自分でも意外に感じた。鈴木のガラナや大柳のローヤルさわやかを飲んで休む。運の悪いことに、岬に着く直前になって曇り出していた。湾に降りて遊ぶ。湧水は見つけられなかった。いろいろあって結局2時間ほど遊んだ。そして、晴れてきた。この2時間は本当に充実していて、やはり知床に来てよかったと、心から思うことができた。
13:35 海に降り立つ。大柳がキイチゴを食べていた。
13:55〜14:05 遠くで何かが動いたと思ったらヒグマが現れた。急いで鈴木を呼び止める。一塊りになって、鈴木に熊スプレーを構えてもらう。向こうはこっちに気付いているようだが、全くの無関心でこっちに向かって歩いてくる。刺激しないようにしながらじっと見つめているしかない。7〜8m横を通って、何事もなく去って行った。緊張の数分間だった。
14:10 番屋でコンブを干していたおじさんと話す。ヒグマはやはりよく出るらしい。京都から来たと言うと、ワンゲル?と聞かれた。どうも昔にお世話になったことがあったようだ。10数年前はいろんな大学が来ていたが、最近はあまり来なくなったという。他にもいろいろな話をしてくれた。昔は盆踊りが開かれるほど番屋が並んでいたが、今では船が高速になり、コンブの乾燥機も進化して、わざわざ番屋で泊まりこんで作業する必要性がなくなってきたそうだ。テントを張るのにちょうどいい場所も教えていただいた。犬が2匹現れた。1匹は人懐っこく、もう1匹は警戒気味だったが、最後には2匹ともじゃれついてきた。
14:30 赤岩。使われていない番屋の近くをCSにした。
海を眺めつつ休んでいたら、さっきの犬2匹がひょこひょことやって来た。しばらくこいつらと遊んでいた。特に三浦によく懐いていた。この日の夕食はレトルト。大柳は岬で獲ったイガイを塩ゆでにしていた。おいしかった。本当に何でも食べるやつだ。今回の山行で大柳の真骨頂を見た気がする。この日はさすがにヒグマが怖かったので、ラジオを点けっぱなしにして寝た。石浜の上で非常に寝にくかったので、深夜に起きてしまった。昭和人物史の番組がちょうど流れていて、東久邇稔彦の特集が非常に面白くて思わず全部聴いてしまったのを覚えている。
8月22日(火) くもり時々雨:海岸、ヒグマ、温泉、焼肉。
3:00 起床
4:20 出発
4:25 アカイワ川で水汲み。2匹の犬が再び現れてついてきた。
4:45 カブト岩。ここで犬ともお別れ。泳ぐ部分もあった。
5:55〜7:00 念仏岩の高巻き。ずるずるの斜面にロープが張られている。岩がボロボロで少し難しい部分があったので、先に登った鈴木にザイルを出してもらった。下りもロープが張られていたので、それを伝って降りた。この日は大潮だったので、泳いだ方が楽だったかもしれない。
7:00〜7:10 レスト。
8:05〜8:15 レスト。
9:15ごろ ペキンノ鼻。海岸の岩場を歩いて、泳いで突破。三浦は泳ぎが苦手なので、ザイルを出した。実は巻き道があったそうで、通りかかった漁師さんが「こんなところ歩いている人、初めて見たよ」と心配そうに見守ってくださった。
10:05〜10:40 前にいた船から、「熊いるよー」という大声が聞こえてきたので、待機することにした。しばらくするとその船は去って行ったので、様子を見に近づくと、クマはまだそこにいた。何かを食べているようだ。仕方なく少し戻って待機。少し雨が降ってきて、寒い。クマがようやく動き出したと思ったら、こちらの方に進んできた。クマとこちらの間には岩場があり、クマが岩場から顔を出した瞬間、目が合った。クマはサッと顔をひっこめた。それからまた10分ほど待機し、熊スプレーを先頭にして様子を見に行くと、クマは消えていた。急いでその場を通過した。まさか2度も遭遇するとは……
10:50 メガネ岩
11:02 剣岩
11:07 モイレウシ川河口
11:15〜11:55 タケノコ岩。ロープが張られた巻き道があった。
11:55〜12:10 レスト。この辺りから三浦の股ずれが酷くなる。
13:15〜13:30 レスト。
13:50 ウナキベツ川河口。戻ってきた。
13:55〜14:02 観音岩。以後、消化試合。
15:05〜15:15 レスト。
16:05 相泊橋。下山。
下山後は再び相泊温泉へ。混んでいた。夕食は焼肉。体がタンパク質を欲していた。ジンギスカンが非常においしかった。この日、宗里は布団で寝たかったので羅臼のライダーハウスに泊まった。1,300円。テレビもついていて下宿より快適だった。他の3人は車中泊。みんなタフすぎる。
その後。
翌日、朝一番にフィールドハウスでスプレーとコンテナを返却。ついでに拾ったカメラも渡した。ウトロの道の駅でお土産を買い、網走監獄を各人でじっくり観光した。続いてモヨロ貝塚でオホーツク文化を学ぶ。能取岬にも行った。気持ちのいい場所であった。網走で夕食後、夜通しワンゲルドライブを敢行。朝3時過ぎに札幌の三浦家前に着いた。三浦と別れ、夕張に向かう。鈴木と二人でマイナーコンビニやら運河やら廃駅やら滝やらを見る。大柳は爆睡していた。夕張の博物館は工事中であった。哀しくなるほど寂れていた。シュ―パロダムは迫力があった。鈴木はこれから友人と道東を回るというので夕張で別れ、大柳と2人で札幌に戻った。洗濯などをしてから、実習で福岡に飛ぶという大柳にレンタカーを任せ、私はもう1日札幌を観光してから帰京。BOXに着くと、服部さんと杉原がちょうど芦廼瀬川に行く準備をしているところでした。
感想
生きて帰ることができて本当によかったです。大学時代にいつかは行きたいと思っていた知床に、CLとして行くことができて、しかも完遂できて、思い残すことはありません。三浦は1回生にも関わらず行きたいと言ってくれて、さすがにRFに参加するほどの余裕はなさそうでしたが黙々とついて来ていて、今後の成長に期待大です。鈴木と大柳は、CL経験者ということで、非常に頼もしかったです。特に鈴木は、SLとして藪をガンガン歩いていき、鈴木ならどんなところでも突破してくれるのではないかと思わせてくれるほどの活躍でした。2人がいなかったら完遂は厳しかったと思います。みんな本当にありがとう。
知床沼も変わってないですね。03年を思い出して懐かしくなりました。沼の水はおいしく飲めたでしょうか(笑)自分は当時ヘロヘロになった記憶しかありませんが、皆さんタフで足並みの揃ったパーティで素晴らしいですね。
ヒグマは海岸に多いんですかね?無事でなによりでした。
コメントありがとうございます。そもそもこの計画は部報のM岡さんの記事に触発されたところが大きいので、コメントをいただけて嬉しい限りです。
「知床の腐れ水」を覚悟していた沼の水は普通の味で、むしろ拍子抜けしてしまいした。浄水器のおかげですかね。
こちらこそ後輩ワンゲラーから知床の話を聞けるのは嬉しい限りです。ありがとう。